あなたは驚愕するだろう。
この作品の完成度に。
自嘲系のモノローグから始まる、どこにでもある異世界転生の物語……と思うかも知れない。しかし、読み進めていくほど、あなたはこの物語の虜となるだろう。
柔らかい表現の地の文から紡がれる旋律のような文章は、日常シーンから戦闘シーンまで読む者を魅了してやまない。
しかも単調になりがちなシーンの中にもユーモアを忘れず、ピリリと一工夫を織り交ぜてくる。
もっとも驚愕させられたのは、人物の描写だ。
主人公クラスから端役に至るまで、キャラクターが確立されており、それが物語により一層の深みを与えていると言って良いだろう。
可愛いキャラからいぶし銀なキャラまで、まるで実際に存在する人物であるかのように物語の中で生き生きと描かれている。
有象無象の作品の中に埋もれた、まさに読むべき作品である。
一気読みを推奨する。