レビューした作品一覧全3件
それは鏡のピカレスク
投稿日:2019年7月1日
これは、十九世紀後半のフランス、退廃と悪徳と拝金主義がもてはやされた時代を生きた、ある一人の高級娼婦の物語です。 分類としては歴史小説になりますが、非常に読みやすく、それでいて重厚さを失わない絶妙な仕上がりの本作。 ただし、その物語は彼女自身が語るのではなく、彼女とかかわった人々が語ります。 立場も考え方も様々な語り部たちは鏡となって彼女を映しますが、その鏡は必ず曇っている。 あるものは同情ゆえに、あるものは軽蔑ゆえに、そして、あるものは愛ゆえに。 彼女を映す最後の鏡は彼女に何を見出すのか。 ぜひお確かめください。
どうしてこうなってしまったのだろう? 誰に責任があるのだろう? 淡々とした始まりは戦争が当然のごとく受け入れられてしまった世界を描いている。 戦争が、煙草、パン、そして思い出までも遠いものにしてしまう。 これはわたしたちが当たり前のごとく享受している、煙草、パン、思い出、そして、誰にも銃で狙われずに道を歩けることの尊さを再認識させてくれる小説です。
行政の肝いりで現代に甦った江戸の町。 が、甦ったのは江戸の暮らしだけでなく、妖怪たちまで甦る! 日常、人情、妖怪変化がほど良く混じった本作は、妖かしがのっそり動き出す、夕暮れ時に読んでもよし、快晴の青空が眩いときに読んでもよし、オールタイムOKな作品です。 読んでるうちに住みたくなってくる江戸の町。 あなたも住んでみませんか?
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