レビューした作品一覧全7件
タイトルのとおり、通りがかっただけなのに、それがキッカケとなって、いつの間にか世界を救ってしまう物語である。 奇をてらった展開はなく、王道的な流れのまま人助けをして、やがては――という流れになっている。 主人公は最初から精神的に成熟しており、若さがありつつも未熟さを感じさせない行動理念がある。 旅を続けているうえで集う仲間たちも同様で、変にメンタルが打ちのめされたり、挫折挫折のオンパレードということもなく、安定した面子がそろっている。 反面、キャラクターたちが安定しすぎているがゆえに、物語の濃厚さが弱く、山あり谷ありが浅く思えることもあるだろう。 しかし、不快感なくあっさりと綺麗にまとまっているため、すっきりと楽しむことができるともいえる物語だ。
王道RPGの裏側で
投稿日:2021年4月23日
これは勇者の友人かつ貴族階級に転生した主人公の物語である。 世界は王道RPG。しかしそれがモブ貴族になると、世界はそう単純に出来ておらず、実際はストラテジーゲームみたいに考えることは山ほどあった、という話だ。 転生した結果持ち込んだ原作RPGの知識を利用し、大胆かつ慎重、されど堅実に行動する主人公。 後方支援の流れや、歴史的視点を考察する人は好む物語に思える。 世界観や主人公の情勢の説明を丁寧に書いているが、物語の展開自体はさくさく進行しているため、読み疲れることはないだろう。 なぜ魔王は復活したのか。 なぜ魔族と戦争する必要があるのか。 描写こそされてはいないが、読者からすればそんな当たり前の疑問も残っており、世界の謎に対する布石はまだまだ多い。 現状54話だが、RPG的な考えで見ると、第一章が終了したあたりだろう。 まだまだ今後に期待できる物語である。
笑顔の絶えないVRMMO(身内のみ)
投稿日:2020年5月21日
楽しくワイワイ冒険、集まった仲間たちとアットホームな雰囲気で気持ちよくゲームをプレイする物語です。 しかし世界は主人公たちには優しくありません。 自由に世界を遊び尽くすためには、何よりも力が求められます。 現状はある程度気の合う仲間たちを集め終わった感じで、そろそろ色んな場所に首を突っ込もうかなというところでしょうか。 今後は主人公たちを邪魔する沢山のプレイヤーが出てくるでしょう。自分たちの不手際なのに要求ばかり突き付けてくる運営に悩むこともあるでしょう。 でも主人公たちは負けません。幸か不幸か、ピーキーな強さを得たが故に大きなデメリットを背負いつつも、知恵と才能と努力を元に世界を駆け抜けていきます。 ※注意! このレビューは主人公側の視点でのモノになります。他者の視点では、主人公側は完全無欠の悪役です。
派手じゃなくてもいいじゃない
投稿日:2020年5月15日 改稿日:2020年5月15日
 異世界に来たおっさんが手に入れたユニークスキルは若返り。現在の最新話では20代まで若くなっており、ほぼ不老といっていい状態。だが恩恵はそれだけであり、異世界で生き抜く力は全て自分で体得しなければならない。安易な戦闘チートで俺TUEEEはなく、地道な努力がモノをいう。  若返りのスキルの性質上、ハーレムなんて夢のまた夢であり、現地妻になりそうな女性キャラのフラグはあっても、明確に立てることなくヒロインの影は欠片もない。作者様の構想次第ではあるが、いつかはパートナーとなる相手が出来るかもしれない。しかしこの主人公が複数の女性に言い寄られウハウハになる姿は想像できないだろう。  出会いがあれば別れあり。堅実に地道に力をつけて、異世界を渡り歩く。異世界の日常的な、されど心地よい冒険物語である。
女バーサーカー、物理無双ファンタジー
投稿日:2020年4月11日 改稿日:2020年4月11日
 これは何でか異世界転移した現代人が、ちょっとした能力強化を戦闘方面へと余すことなく発揮してしまった無双系小説である。  見所は魔法のような不思議パワーで薙ぎ払うものではなく、正しく物理的な武器と技術と身体能力のごり押しによる虐殺劇。一撃必殺、剣戟惨殺、鮮血上等である。  頭のおかしい環境で育ち「現代社会によく適応できてたなコイツら」と思えるような人食い虎の皮を隠した美少女二人が、異世界に来てしまったことでヒャッハーしてしまうという物語だ。正気と狂気は紙一重、安全装置なんてなかった。  仲間に少年も一人いるが、こっちは現状では頭脳労働担当。彼が無双の仲間入りを果たすかどうか、素質は十分にありそうなので今後の展開に期待したい。  新しく現地の美人な女バーサーカーと意気投合し、ますます血気盛んに死山血河を作り上げ、死屍累々の地獄絵図を積み重ねていくヒャッハーたちの明日はどっちだ!
軽いのはタイトルだけ。異世界版のリング、呪怨。
投稿日:2018年8月22日 改稿日:2018年8月23日
リング、呪怨といった日本ホラーを嗜む読者なら、無差別に感染する呪詛の恐怖はよくわかっているだろう。 これは、そういう物語である。 レビュー投稿時点ではまだ完結していないため、最後がどうなるかは不明だが、すでにどうあがいても絶望な詰んでいる状態。 魔法といった力のあるファンタジー世界だからこそ、その暗く深い闇の底から溢れる呪詛は凶悪だ。 勇者に必要なのは、芯の強い誠実な心根なんだと再認識できる話。 中身の薄い、あるいは精神的に未熟で弱いやつに大きな力を与えたって碌なことにはならない。 ちゃんと正しく導ける存在がいれば話は違ったかもしれないが、この物語はそうはならなかったのだ。
王道 愚直な努力は英雄を生んだ
投稿日:2018年1月4日 改稿日:2018年1月4日
主人公の心根が真っ直ぐで好感が持てる。 大きな挫折を味わうも、ちゃんと立ち上がり歪むことなく王国の戦争を駆け抜けた様はまさに英雄譚。 タイトルではまったくわかりませんが、ひとつの英雄を生み出した物語はシンプルながらも面白い作品です。 努力友情勝利をきちんと起承転結で〆ている部分も高評価。 エピローグ前のある敵との戦いは、この物語の第一部と第二部を土台にしているからこそ映える一幕。 楽して俺tueeとは無縁。 不幸な境遇から大逆転とも違う。 積み重ねた愚直な一歩一歩が、確実に主人公の血肉になっていき、最期に英雄に相応しい光を放つ。 余計な蛇足はほとんどなく、王国の激動を書き記した物語でした。 勿論、読む人にとっては粗があったりするでしょう。 しかし、王道が好きな方にはたまらない、引きこまれる話なのは間違いないと断言します。
OSZAR »