レビューした作品一覧全5件
この作品は、看護師を目指す高校生の作者様が、祖母の闘病生活に寄り添いながら、命と自分の夢に向き合う体験談です。 自身の感じた事が、ひとつひとつ丁寧に描写されており、改行も余りない為、読みやすい作品とは言えないかも知れません。 ですが、大人になってしまうとどうしても表に出てしまう、「諦め」や「割り切り」といった感情がないので、多くの人が忘れかけていた熱い気持ちや、人として大切なものがここに詰め込まれています。 熱く真っ直ぐな作者様の姿勢は、無理をし過ぎないか心配になる程ですが、そこで大人が取るべき態度は「やめろ、無理するな」ではないと思います。 倒れた時、壁にぶつかった時に自身の意見や経験を用いて、熱く真っ直ぐな若い人の手助けをする事なのだと気づかされる作品です。
私も「小説家になろう」で多くの歌詞を書いているのですが、この歌詞に出会った時、自信を喪失しました。 この歌詞は、誰も超えられない……。 前半部分の、胸を締め付けられる様な切なさは、自分の人生に惨めさを感じた事のある男なら、激しく心を揺さぶられる事でしょう。 それに対比して、後半の、まるで麻薬を撃ち込まれたかの様な高揚感と解放感は、パチンコ未経験の私にさえ驚愕の幻影を見せてくれます。 この泣き笑いのコントラストこそが、人生なのか。 軽々しく凄いとか言ってはいけないくらい凄い歌詞です。 ありがとうございます。
この作品は、日本人ならお茶漬けと同じくらい誰もが知っている童話「浦島太郎」をゲームに見立て、最速でエンディングに辿り着く事、つまり浦島太郎を最速でジジイ化する事を目的としたマニアの為の攻略本です。 当然、最速エンディングを目指しているので、ゲームを楽しんだり、世界観を味わおうとする「遊び心」は皆無で、システム上の欠陥までを活かした冷徹極まる攻略法で浦島太郎ジジイ化計画を遂行します。 ゲーム攻略本に馴染んでいた私の様な世代は勿論、現在のゲーム実況に馴染んでいる世代の方も、この乾いたマニュアル人生の追求ぶりに、笑顔のないお腹の筋肉だけで笑いを回収出来る事でしょう。 ラストはまさかの「偉い人を怒らせたどさくさに紛れてポジティブに玉砕する」という、バーナード・ショーの名言の如き成功への道で締めくくられており、本作品はある意味最強のビジネス書でもあると、深く唸らされます。
第6感が満たされる個性派作家
投稿日:2020年2月22日
本作『マジカルポット』は、私が初めて読んだこの作者様の作品であったが為にレビューの対象になりましたが、この作者様は、『なろう』界の中でも比較対象が存在しない程の確固たる個性を持っています。 もう10年近くも作品を投稿し続けており、その殆どが所謂『ショート・ショート』と言われる短編で、ジャンルはコメディーからホラーまで幅広く手掛けられていますね。 この作者様と作品の魅力を正確に伝える事はとても難しいのですが、そのストーリーと文章のセンス、そして作品の魅力を膨らませる為なら敢えて複線も回収しない、オチを付けて笑わせる事もしない決断等、ナンセンスの一言で片付けてはいけない読者の第6感に訴えかける魔法の様なものを持っている……と言わせて欲しいです。 読者を選ぶ作風ですし、センスが合わなければ面白さを感じられないとも思いますが、巷の商業作品では得られない魅力のある作品が溢れています。
本作を何となくチラ見した時、大変笑撃を受けました。これは作者様本人が仰せられている様に地の文が存在せず、キャラクターの会話だけで「異世界転生あるある」が語られながら、高校生の男女が異世界を旅する作品なのです。 ですから本作は既に小説ではありません。漫才の台本です。 しかしながら、作者様の恐るべき雑学知識と全くブレる事の無い健全な倫理観によって、行間どころか文字間から無いはずの文章が読み取れます。 更に作者様は、ギャグが面白過ぎると倫理観のハイパーインフレで読者と作者が不安になる、故に神がかった時期のあるギャグ漫画がその後急激に失速する事も知っておられる様子で、笑いの神が出しゃばらない様に監視下に置き、一人ずつパラシュートで降臨させております。意識して出来る事ではありませんね。 本作は全く労力無しに読めますが、空き時間にサクッと読むより、まとめ読みした方が100倍面白いです。
OSZAR »