レビューした作品一覧全5件
出た出た出た出たよ! こういう後宮小説が読みたかったんですよ!! ネタの切り口、繰り返される食養生の豊富な知識や描写、各キャラクターの書き分け方、全てが「流石!」としか言えないほど老練で楽しい作品。舞台である後宮モノの雰囲気を作中で完璧に保ちつつも、食に関するエピソードと各キャラクターの見事なクロスっぷりもお見事の一言。要所要所でまことに草生えるやりとりや描写もしっかりと盛り込まれており、全体的に雰囲気がみずみずしく、高温でカラリと揚がっており、非常に満足感が高い小説となっております!! 一読して「こういうのが読みたかったんだよ!」と膝を打つこと間違いなし!! 書籍化お待ちしております! 
面白いのに眠くなる不思議な小説
投稿日:2024年12月15日
いやぁこれはもう、刺さった。実によく刺さった。刺さりすぎて反対側に先端が突き出るぐらい、見事に刺さりました。 とにかく、音。ASMRには詳しくない人でも、なんかボンヤリ聴いてるうちにウトウト来てしまうあのコポコポカリカリ音が、まさか小説で読めるというのはなかなか貴重な体験であります。私は読んでるうちにウッカリ眠くなってきました。嘘だと思ったら読んでみてください。 不眠に悩むヒーローに音魔法の使い手である主人公がコポコポカリカリとASMRを聴かせて熟睡させる、というストーリーには実に説得力があるのですが、更に特筆すべきは第8話。同じく精神不調に悩む王太后の在りし日の記憶を「音」で呼び覚まし、癒してゆく筋立てには爽やかな感動を禁じ得ません。 これは主人公のこと好きになっちゃうわ、と思わされる圧倒的「音」、そして「癒し」の小説であります。皆さんも是非!!
まず文章の達者さもさることながら、このエッセイが「弁明」という形で出された所から全く人を喰っている。的確でありながら読者をくすぐる文章、文学史に関する知識量、怒れる被害者たちの声を軽妙に躱し、整然と理屈を積み上げて「だからお前の作品はつまらない」と容赦なく切り捨てる鮮やかさ。人を手玉に取って転がす余裕と、それを敢えてやる悪趣味さ。おそらくはその反応まで含めての小劇場なんでしょう。いいミステリー小説のようなコンセプトです。感想を渇望していながら、酷評に対してはあまりに赤ちゃん肌になりすぎた我々にとっては、一周まわって新鮮な感じさえある、痛快な語り口です。 さらに、小説を書くなら必ず意識せねばならないテーマ性や起承転結、キャラの造形の必要性など、我々がシステムに慣らされるあまり忘れてしまった「一体何を書くべきか」を思い出させてくれる、なろう作家は必読のエッセイです。
禿げ上がるほどに面白い
投稿日:2021年3月16日 改稿日:2021年3月23日
一言で言います。 抜群に面白いです。 素晴らしいのは、人物の濃厚さ、キャラクターの造形の巧みさです。普通の商業小説一冊を手にとっても、ここまで不足のない、ビターでリアルなキャラクターづくりができている小説には、そうしょっちゅうお目にかかることは出来ないでしょう。一体どれだけ豊穣な人物像の名鑑が作者様の脳内にあったのか、本当に気になります。各キャラクターたちが抱える闇の深さ、リアルさ。そして主人公であるディアナが悩める彼ら彼女らに差し伸べる手の優しさ――それらが抜群に調和し、他の作品とは一線を画す、なんともよい味わいを持つ恋愛小説となっております。 ここまで巧みでアダルトな魅力・奥行きに溢れる小説にはなかなか出会えませんでしょう。 ぜひぜひみなさんもこの作品をお読みくださいませ。
凄まじい執念を感じる小説です。否、これはもう、いっそ言ってしまえばどうやって書いてるかわからないレベルの密度の小説です。 ズバリ読むべきところは、 「よくぞこれほどヒリ出したな! よくもこれだけ! 本当によくぞこれだけ思いついたな! しかも思いついただけみんな書いてるし! 凄い! 偉い!」 と絶賛されるべきギャグの敷き詰め方です。白い所が一個もない小学生の水彩画を見た時と同等、いや、それ以上の驚きと圧倒的な強烈さを感じます。 ただ一見した人からも、絶対に笑いをもぎ取ってやろう、クスリとでも笑わせてやろう、という力がある。異世界転生に申し訳程度に添えられるギャグシーンとは根本的に異なる、これぞギャグ小説という、半端ではない熱量を感じます。 決して損はさせません。この作品を読んでください。
OSZAR »