いやぁこれはもう、刺さった。実によく刺さった。刺さりすぎて反対側に先端が突き出るぐらい、見事に刺さりました。
とにかく、音。ASMRには詳しくない人でも、なんかボンヤリ聴いてるうちにウトウト来てしまうあのコポコポカリカリ音が、まさか小説で読めるというのはなかなか貴重な体験であります。私は読んでるうちにウッカリ眠くなってきました。嘘だと思ったら読んでみてください。
不眠に悩むヒーローに音魔法の使い手である主人公がコポコポカリカリとASMRを聴かせて熟睡させる、というストーリーには実に説得力があるのですが、更に特筆すべきは第8話。同じく精神不調に悩む王太后の在りし日の記憶を「音」で呼び覚まし、癒してゆく筋立てには爽やかな感動を禁じ得ません。
これは主人公のこと好きになっちゃうわ、と思わされる圧倒的「音」、そして「癒し」の小説であります。皆さんも是非!!